※ これはあくまでプロットの一例ですので、参考にする必要はありません。自己流のプロットをおまちしております。
ミーティングルームのソファにて目をさますエーリカ。(サーニャとしゃべってるうちにふたりでいつのまにかねてしまっていた)
ぼんやりとした違和感をおぼえつつ、サーニャをおこそうとするエーリカ。しかし、ふっと目をあけると、そこにいたのは自分だった。
「中身がいれかわっちゃったってやつ?」
「どうしましょう……」
ふたりとも根が大物なので案外冷静です。どうせお互いいつも寝ているばかりだし、というわけでとりあえずお互いのふりしてすごすことに。
エーリカとバルクホルンの部屋
エーリカの顔したサーニャがベッドでねているところに、バルクホルン登場。
「ハルトマン! いつまで寝てる気だ! もう夕方だぞ!」
ちょっとどなったら簡単に身をおこしてしまった。あきらかにようすがおかしい。なんだか、しおらしい。小言を言ってみても普段のへらず口はどこへやら、神妙な顔でうつむかれてまったくはりあいがない。これはへんだと思い、ジークフリート線をこえてようすをうかがおうと顔をのぞきこむと、抵抗もされず、はじらうようにただ目をそらされるばかり。(ちなみに本当は自分がエーリカじゃなくてうしろめたいだけ)
なんだかどきどきしちゃうバルクホルン。なにをかんがえているんだ、相手はハルトマンだぞ。
「ど…どうした、具合でもわるいのか」
「……べつに、そんなこと、ない」
そう思うのに、らしからぬひかえめさでもじもじと返事をされて、視線が釘付け。最終的に、ふとした上目づかいと目があった瞬間、ぷっつん。
「ふ…フラウ!」
肩をつかみひきよせ、キスしようとするバルクホルン。ぎょっとしたサーニャは反射的にバルクホルンをつきとばす。バルクホルンは思いがけぬ抵抗に見事に背後にあるエーリカの私物の山にたおれこむ。しまった、と思うが、されそうになったことを思いだしてにげだすことにするサーニャ。
「ご…ごめんなさい」
もちろん、がれきの山のなかからの返事はない。
サーニャとエイラの部屋
サーニャの顔したエーリカがエイラのベッドでぐっすり。でも、エイラのぼそぼそ声におこされる。おきろとかもう夕食だぞとかいうわりに髪にそっとふれるばかりで全然おこすきのなさそうなエイラ。いたずら心がわくエーリカ。
「……エイラ」
できるだけサーニャらしくなまえをよんで、まるで誘惑でもするようにベッドのなかにひきこむ。サーニャのふりをしながら、なまえをよんだり髪にふれたりする。そのたびエイラが悲鳴みたいな声をあげるから笑いをこらえるのに必死になるエーリカ。サーニャの演技もエイラの反応も最高にたのしくなってきたころ、ふと、エイラが腕をたてて身をはなす。つまりまさにおしたおすような体勢になる。あれっと思ってうえをみれば、どろんと熱のこもった瞳がみおろしてくる。エイラもぷっつんしました。
「さ、サーニャ…!」
ふってくるエイラの唇、ぎょっとしたエーリカは反射的に拳をつきだした。もちろん顔面にクリーンヒット。
ベッドからころげおちるエイラ。やべ、グーでいっちゃった、と思うが、エイラの性急な行動はたいへんよろしくないものだったので、おしおきのつもりで放置することにし、逃亡。
廊下をにげていると、ちょうどでくわすエーリカとサーニャ。どうしたの、どうしたんですか、とお互いにたずねるが、相手の歯切れのわるさに、だいたいにたようなことがおこったんだなと察するふたり。それから相手の背後を見て,おいかけてもこない自分の相方にやっぱりと思う反面ちょっとつまらなくなる。
やっぱりいっしょにいたほうがいいね、という結論にたっするふたり。本音は、からだは自分のものとはいえ、自分のしらないところでなにかがあるのはちょっとこまる、といったところか。
食堂にて夕食もいっしょにくっついてとっていると、バルクホルンとエイラがしにそうな顔をしながらちらちら視線をむけてくるものだから最高に気まずい。
「きょ、きょうは大尉たちの部屋でねろだって?」
「きょ、きょうはサーニャたちの部屋にとまるだと?」
その後部屋割りの変更をおねがい、というよりは強制すると、思い切り拒絶された直後ということもありへたれふたりの目のまえは真っ暗になった。
バルクホルンとエイラの部屋
「わたし、きょうはこのきったねーベッドのうえで寝るのか……」
「な…、だれがハルトマンのベッドで寝ていいっていった!」
「じゃあどうすんだよ」
「それは…、わ、私のベッドでいっしょに寝るんだ!」
「まあどうでもいいけど、……サーニャあ…」
「……、…………」
結局一睡もできないふたりなのだった。
サーニャとエーリカの部屋
「どうやったらもとにもどるんだろうね」
「そうですね……」
自分の顔が目のまえにあってへんな気分になりながら、ふたりはサーニャのベッドにねそべってきょうあったことを思いかえす。(サーニャもエイラのベッドにほかのひとが寝るのはなんだかいやだから自分のベッドでいっしょに寝ることにしたんですね)
いつもお互いに相手のへたれぶりをぐちぐち言いつづけてきたものだが、案外簡単にことが運びそうになってしまった。それが申しわけないような複雑な気分なので、さーにゃんがもっと積極的にいけば、とか、ハルトマンさんがちょっとひいてみれば、とか、助言は思いつくものの言いだすことはできないふたり。
翌朝。ふたりはもとにもどっていた。夢でも見ていたかのような気分だった。
部屋割りをあっさりもどすと、エイラとバルクホルンは完全に怖じ気づいたようすでそれぞれの自分たちの部屋のすみからルームメイトを見つめていた。いったいきのうはなにがあったんだろう、気になるがきくにきけないサーニャとエーリカ。
「トゥルーデの視線が熱すぎてねようにもねれないよ。トゥルーデのえっちー」
「エイラ、そんなに見られたら、はずかしい……」
いつものようにからかうエーリカ、いつものようにはじらうサーニャ。
「な…、だだれがえっちだ! というか朝なんだからねるなー!」
「あ、ご、ごめんサーニャ! べ、べつに見てたわけじゃなくてその……」
すると、いつものように真っ赤になっておこるバルクホルンと、真っ赤になってこまってしまうエイラ。ふたりはきのうのすこしかわった自分のだいじな子を思いうかべる。
うん、やっぱりこっちのほうが、いいな。結局エーリカがすこしひいてはじらうことも、サーニャが積極的になることもできることではないし、バルクホルンもエイラも、そういう自分の手には全然おえない彼女のほうが、とてもとても、いとしいのだった。